susutex’s blog

自転車、電子工作、プログラミングとかについて書くかもしれないブログ

「エアロロード大研究2019」考察

一年近く前になるが、以下の記事が話題になった。

www.cyclesports.jp

最近改めてこの表を目にした。バイクが変わると速度に依存する空気抵抗だけでなく、速度にかかわらず一定である摩擦・転がり抵抗も変わってくるはずだが、それらが分離されず巡行に必要な出力のみが掲載されている。簡単なモデルを立てればこの二つを分離できそうだと思ったので試した。

 

モデル

面白くないので結果だけ知りたければここは飛ばして計算結果を見たほうがいい。

巡行速度vを維持するために必要なパワーP(v)に関して、以下の関係を仮定した。

  • P(v) = A*v + B * v^3

Aは速度に関係なく一定な抵抗力で摩擦及び転がり抵抗を想定、B * v^2は速度の二乗に比例する抵抗力で空気抵抗を想定し、それらに単位時間の移動距離vをかけて単位時間の損失、つまり巡行に必要なパワーとしている。

面倒なので時速30km/hの際をv=3、時速40km/hの際v=4とすると

  • P(3) = 3A+27B
  • P(4) = 4A+64B

となり、各バイクに対して二点データがあるので連立方程式を解いてA,Bを計算できる。単位がめちゃくちゃだがA,Bで勝手に辻褄が合うので細かいことは気にしないことにする。

 

計算結果

計算結果は以下になった。

 

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Aの行がAの計算結果で、vengeが頭一つ抜き出て小さい、それ以外はsystemsixがやや大きいがほぼ横並び。

Bの行がBの計算結果で、supersixが極端に大きく、それ以外はsystemsixがやや小さいがほぼ横並び。

その下の0,1,2,…,8は0,10,20,…,80km/h巡行時に必要なパワーをA,Bを使って計算したもの。

 

考察

  • エアロロードでないsupersixを見ると、空気抵抗の項Bが他と比べて大きく、摩擦の項Aはvengeを除く他のバイクと横並びというのを見ると大体あってるような気がしなくもない。
  • Bの項はsystemsixが一番小さいので、この仮定のもとで一番空気抵抗の低いバイクはsystemsixということになる。が、vengeのAがとても小さいので60km/hでも逆転できない。残念。70km/hでは逆転できるのでスプリントでは勝てるかもしれない。
  • vengeのAがなぜ小さいのか、一番それらしいと思い当たるのはハブがセラミックベアリングということである。他のバイクはハブのベアリングについて特に記載がなかったのでわからなかった。ではsystemsixにCLX64履かせれば最速になるのかというと空気抵抗が変わるのでどうなるかわからない。だれか試してみてほしい。